判例・事例

ペットと慰謝料について

2018年5月8日 その他


はじめに
 犬や猫といったペットが交通事故で死傷した場合に、飼い主に慰謝料が認められるのか。
今回は、ペットと慰謝料について法的に検討をしてみます。

1.物的損害と慰謝料
 ペットが死傷した場合、発生する損害の種類は物的な損害です。自動車の修理が必要となった、所有物が毀損されたというように物に損害が生じた場合にその損害を物的損害といいますが、ペットが死傷した場合もこれらと同様に物的損害とされています。他方で、人が怪我を負った、死亡したという場合は、人に関する損害ですので人的損害といいます。
 人的損害については、入通院日数や後遺症が発生すればそれに応じて慰謝料が認められます。一方で、物的損害については、財産上の損害が賠償されれば(例えば、自動車の修理費が支払われる、毀損された物が弁償される等)、それと同時に精神的苦痛も慰謝されたと考えられるため、別途慰謝料を認めることができないとされるのが一般的です。もっとも、ペットについては、特別の主観的・精神的価値を有し、財産的損害の賠償を認めただけでは償い得ないほど甚大な精神的苦痛を被った場合には、例外的に慰謝料が認められるとする裁判例が多く、近時の裁判例でも同様の傾向です。

2.ペットについて慰謝料を認めた裁判例
 平成20年9月30日名古屋高裁判決では、ペットに関する慰謝料について、「飼い主との間の交流を通じて,家族の一員であるかのように,飼い主にとってかけがえのない存在になっている」「動物が不法行為により重い傷害を負ったことにより,死亡した場合に近い精神的苦痛を飼い主が受けたときには,飼い主のかかる精神的苦痛は,主観的な感情にとどまらず,社会通念上,合理的な一般人の被る精神的な損害であるということができ」る旨判示したうえで、第二腰椎圧迫骨折に伴う後肢麻痺の傷害を負った飼い犬について、飼い主との交流を通じて家族の一員であるかのように、かけがえのない存在になっていたと認定し、飼い犬の負傷の内容や程度、飼い主らの介護の内容程度等を考慮して、飼い主二名に対しそれぞれ20万円、合計40万円の慰謝料を認めています。
 当該事案はペットが死亡していない事案であるにもかかわらず、40万円とかなり高額な慰謝料をみとめた点で特殊です。特殊ゆえに、他の事案でも同様の結論になるとは限りませんが、どのような場合に慰謝料が認められるのかを考えるにあたっては参考になります。

3.ペット以外の物的損害についての慰謝料
 前述のように、ペット以外の物的損害についての慰謝料は、基本的に認められないことに注意が必要です。例えば自動車が廃車になってしまった場合の慰謝料ですが、自動車への思い入れが大きくとも、慰謝料は基本的には認められません。

以 上

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