判例・事例

民法(債権法)の改正

2015年2月4日 債権回収(売掛金や貸付金等等の回収)


1 改正の動き

 実は、現行民法は制定されてから110年あまりもの間、大きな改正を経ることなく
現在に至っています。社会、経済活動が制定当時のそれとは大きく変化している中、
国民にわかりやすい民法を!とのスローガンの下、政府官僚、学者有識者、弁護士ら
実務家などがチームを組んで、改正案の策定作業が進められてきました。

2 消滅時効制度

 今回は、改正要綱仮案の中から、消滅時効に関する改正点ご紹介いたします。
 消滅時効とは、ある権利が行使されない状態が継続した場合に、その権利の消滅を
認める制度です。継続した事実状態の保護や「権利の上に眠る者は保護しない」という
法諺(ほうげん‐法律に関することわざ)に由来します。
 現行民法では、民事債権は原則「10年」で消滅時効が完成しますが、商事債権の
場合は「5年」、工事請負代金債権の場合は「3年」など、債権の種類によって時効期間
がそれぞれ定められています。
 そのため、時効が問題になるケース(例:売掛金の回収)で、当該債権の種類や適用
される時効期間について、解釈が争われることも少なくありません。
 改正要綱仮案では、この点をわかりやすくするという観点から、時効期間を統一し、
債権者が「権利を行使することができることを知った時から5年間」又は「権利を行使する
ことができる時から10年間」権利を行使しないときは、時効により債権が消滅すると規定
しています。つまり、債権の種類ごとに時効期間を細々と区別することを廃止しました。
 もっとも、不法行為による損害賠償請求権(例:交通事故賠償、契約締結前の説明義務
違反に基づく損害賠償請求)の場合は、別の規律が設けられています。

3 おわりに

 今回の民法改正では、消滅時効制度のほかにも、様々な改正がなされる予定です。
例えば、契約解除に関する規定などは根本的な考え方がガラリと変わりますので、
将来的には契約書のひな型も見直す必要が出てくると思われますので、検討が必要です。
  

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