判例・事例

業務委託により講師を受入れていた私立高校に団交命令①

2015年6月8日 労働組合に関する事例・判例


1 業務委託契約に基づく講師の受入れと使用者として団体交渉に応じる義務

平成27年4月19日、埼玉県労働委員会で、業務委託契約に基づき、業者から講師を受け入れていた私立高校を労組法上の使用者とする命令が出されました。県労委は、高校に対し、講師の直接雇用を議題とする団体交渉に応じるよう命じています。

2 事実関係と県労委の命令

本件では、私立高校に講師を派遣していた受託業者は当該講師との間で雇用契約ではなく業務委託契約を結び、講師として高校に派遣していました。受託業者と受入先である高校との間の契約、講師と受託業者との間の契約いずれもが業務委託契約である点が特徴です。高校の側は、刑事罰の科される違法性の強い職安法違反ではなく、派遣法違反にすぎないと主張していたようですが、県労委は、労働者との間の雇用関係の成立を否定して、業者と高校の間の業務委託は、職安法44条に違反する違法な労務供給事業に当たると認定しました(ちなみに東京労働局は労働者派遣に該当するとし、派遣法違反により是正指導していました)。 その上で、高校は、採用、配置、雇用の継続、終了につき、具体的かつ現実的に支配、決定できる地位にあったと判断し、労組法上の使用者として、当該労働者を直接雇用することを議題とする団交に応じるよう命じたのです。

 

※ 「県労委の判断について」続きます。

 

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