判例・事例

未払い残業代について(その5)

2016年3月6日 賃金に関する事例・判例


5.付加金について

(付加金請求の実態)

残業代の未払いや、解雇予告手当、休業手当の未払い等があった場合には、その未払い額と同額の付加金の支払いを命じられることがある(労基法114条)。

最近は、残業代請求の裁判では、通常この付加金の請求がされ、裁判所も原則として付加金の支払いを命じる傾向がある。

残業代の額がある程度の金額になる場合には、早々に交渉は打ち切って、本裁判で未払い残業代とこの付加金を請求してくる例も増えている(なお、労働審判では付加金の支払いを命じることはできない。)。

中には、高額の付加金を目的に裁判を起こし、裁判所が付加金を含まない未払い残業代のみの支払いを内容とする和解案を示しても、付加金の支払いに固執して和解に応じない当事者及び代理人もいるので注意が必要だ。

(対応策)

企業によっては、残業が発生することが避けられない職場があり、それに対する十分な対策が講じられていない場合が少なくない。(もちろん、適切な時間管理をおこない、合理化と生産性の向上とあわせた時間外労働の削減が前提として求められるが、このことは別の機会に触れたい。)

企業としては、業務の内容に応じて、管理監督者、事業場外労働の労働時間みなし、裁量労働制の労働時間みなし、固定残業代等、適切な対策を講じる必要があるが、仮に残業代請求の裁判を起こされた場合であっても、付加金の支払いを回避するための方策はあるので、あわてないで相談をしてほしい。

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