判例・事例

近年の育児・介護休業法の改正について

2018年4月4日 労働条件に関する事例・判例


はじめに
昨年10月1日より、改正育児・介護休業法が施行されています。同法については、一昨年
(平成28年)にも法改正がありましたので、両改正の概要を併せてご紹介させていただきます。

1 平成28年改正法の概要(施行日:平成29年1月1日)
(1) 育児関係
① 子の看護休暇につき、半日単位の取得を認めた
② 有期契約労働者の育児休業の取得要件を緩和した
(2) 介護関係
① 介護休業につき、分割取得を認めた(対象家族1人につき、3回を上限として、通算93日まで分割取得可能)
② 介護休暇につき、半日単位の取得を認めた
③ 介護のための所定労働時間の短縮措置等につき、介護休業とは別に、利用開始から3年の間で2回以上利用可能とした(従前は介護休業と通算して93日の範囲内でのみ利用可能とされていた)
④ 介護のための所定外労働の免除の制度を新設した
⑤ 有期契約労働者の介護休業の取得要件を緩和した
⑥ 介護休業等の対象家族の範囲を拡大した(従前は祖父母、兄弟姉妹及び孫につい
ては「同居かつ扶養している」者に限定されていたが、その限定が外され、同居・扶養していない祖父母等についても対象となった)【省令】
(3) 育児・介護両方に関わるもの
  妊娠・出産・育児休業・介護休業等を理由とする、上司・同僚による就業環境を害する行為を防止するため、相談対応体制の整備等の雇用管理上必要な措置を講ずることが事業主に義務付けられた

2 平成29年改正法の概要(施行日:平成29年10月1日)
(1) 育児関係
① 一定の要件を満たす場合に、最長2歳までの育児休業の取得を認めた
具体的には、1歳6か月までの育児休業の取得が認められるための要件と同様、
ⅰ 従業員又は配偶者が、その子の1歳6か月到達日において育児休業しており、かつ
ⅱ 保育所等に入所を希望しているが入所できない場合、又は1歳6か月以降育児に当たる予定であった配偶者(かつその子の親)が、死亡、負傷、疾病等の一定の事情により子を養育することが困難になった場合
② 小学校就学の始期に達するまでの子を養育する従業員に対して、(子の看護休暇、年次有給休暇等別途法で認められている休暇以外に)育児に関する目的で利用できる休暇(例えば、配偶者出産休暇や、入園式、卒園式などの行事参加も含めた育児にも利用できる多目的休暇など)を与えるための措置を講ずる事業主の努力義務が追加された
(2)育児・介護両方に関わるもの
従業員もしくは配偶者が妊娠・出産したこと、又は従業員が対象家族を介護していることを知ったときに、関連する制度(休業中の待遇や休業後の労働条件等)について個別に知らせるための措置を講ずる事業主の努力義務が追加された

3 規程への法改正の内容反映の必要性
 平成29年改正法の(1)②(育児目的休暇の付与措置)・(2)(個別周知の措置)については努力義務にとどまりますので、このような制度を設けていなかったからといって直ちに違法となるものではありませんが、それ以外については改正内容に反する取り扱いは違法となってしまいます。
 御社の規程には、これらの改正内容が反映されていますでしょうか。もし必要でしたら、当事務所でも規程の改正案の作成等お手伝いをさせていただきますので、お気軽にご相談いただければと思います。

以 上

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