判例・事例

令和4年4月1日から施行される改正育児・介護休業法のご紹介

2022年2月1日 労働条件に関する事例・判例


関連記事:2021.11.1【法改正情報】育児・介護休業法改正~省令等が公表されました~

昨年7月の記事では、改正育児・介護休業法の概要をご紹介いたしました。同改正法は令和4年4月1日から段階的に施行されます。
今回は、令和4年4月1日から施行される内容について改めてご紹介いたします。

1 改正育児・介護休業法の概要
男女とも仕事と育児を両立できるように、以下の内容の改正がされました。
①男性の育児休業取得促進のための新制度(産後パパ育休(出生時育児休業))の創設(令和4年10月1日施行)
②育児休業を取得しやすい雇用環境整備及び妊娠・出産の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置の義務付け(令和4年4月1日施行)
③育児休業の分割取得(令和4年10月1日施行)
④育児休業の取得の状況の公表の義務付け(令和5年4月1日施行)
⑤有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和(令和4年4月1日施行)

本稿では、②、⑤についてご紹介いたします。

2 育児休業を取得しやすい雇用環境整備及び妊娠・出産の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置の義務付け

(1)育児休業を取得しやすい雇用環境の整備
育児休業、出生時育児休業(1①、以下まとめて「育児休業」といいます。)の申出が円滑に行われるように、事業主が以下のいずれかの措置を講じなければなりません。

・育児休業に関する研修の実施
・育児休業に関する相談体制の整備等
・自社の労働者の育児休業取得事例の収集・提供
・自社の労働者へ育児休業制度と育児休業取得促進に関する方針の周知

※上記の措置を講ずるに当たっては、短期はもとより長期の休業の取得を希望する労働者が希望するとおりの期間の休業を申出し取得できるよう配慮することが必要。
※上記の措置を講ずるに当たっては、可能な限り、複数の措置を行うことが望ましい。

(2)妊娠・出産(本人または配偶者)の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置
本人または配偶者の妊娠・出産等を申し出た労働者に対して、事業主は以下の事項の周知と休業の取得意向の確認を個別に行わなければなりません。
《個別の周知事項》
・育児休業に関する制度
・育児休業の申出先
・育児休業給付に関すること
・労働者が育児休業について負担すべき社会保険料の取扱い
《個別周知・意向確認の方法》
①面談(オンライン面談も可能)
②書面交付
③FAX
④電子メール等
のいずれか(③、④は労働者が希望した場合のみ。)

※取得を控えさせるような形での個別周知と意向確認は認められません。
※育児休業申出に係る労働者の意向を確認するための措置については、事業主から労働者に対して、意向確認のための働きかけを行えばよい。
※(1)及び(2)の措置義務に違反し勧告を受けても従わない場合は、企業名の公表も可能。

3 有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和
(1)改正内容のおさらい

2022.1

(2)(1)①の要件が就業規則に記載されている場合は、その記載を削除して就業規則の変更をする必要があります。
「1歳6ヶ月までの間に契約が満了することが明らか」か否かについては、育児休業申出のあった時点において判明している事情に基づき子が1歳6ヶ月に達する日において、当該申出の時点で締結している労働契約が終了し、かつ、その後労働契約の更新が無いことが確実であるか否かによって判断されます。

4 上記改正に対応するために就業規則の改正、労使協定の締結が必要な場合は、いつでもご相談ください。
育児休業等の申し出・取得を理由に、事業主から退職を強要された、正社員からパートへの契約変更等を強要された等としてハラスメントの紛争になる事例が見られます。事業者の皆様には、制度の適切な運用をしていただくとともに、どう対応してよいかお困りの場合は、お気軽にご相談ください。

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