判例・事例

新型コロナワクチンを接種するよう会社が業務命令/勧奨することは可能か?その際の留意点は??

2021年8月6日 その他


新型コロナワクチン接種をめぐるご相談が増えてきています。
そこで、当事務所では、本年9月15日(水)13:30~15:00に

「第22回法律実務セミナー 新型コロナウイルス対応~ワクチン接種をめぐる企業対応 実務上の留意点~」

をオンラインにて開催予定です。
今回の記事は、その内容の一部を先取りしてご紹介したいと思います。

1 前提~法律・厚労省の考え方~
・法律:予防接種を受ける努力義務があるに留まります(妊婦は努力義務も適用除外)。
・厚労省:「新型コロナウイルスワクチンQ&A」
Q 新型コロナワクチンの接種を望まない場合、受けなくてもよいですか。
A「…接種は強制ではなく、あくまでご本人の意思に基づき接種を受けていただくものです。接種を望まない方に接種を強制することはありません。また、受ける方の同意なく、接種が行われることはありません。」
「職場や周りの方などに接種を強制したり、接種を受けていない人に差別的な扱いをすることのないよう、皆さまにお願いしています。仮にお勤めの会社等で接種を求められても、ご本人が望まない場合には、接種しないことを選択することができます。」

⇒感染予防の重要性とワクチンの効果は踏まえつつ、同時に今般の新型コロナワクチン接種については副反応の懸念があることを念頭に(この点がマスク着用やPCR検査の実施とは異なります)、労働者の人権、自己決定権を考慮する必要があると判断したものと思われます。

2 新型コロナワクチンを接種するよう会社が業務命令することは可能か?

当該業務命令に従わない従業員に対して懲戒処分をすることは可能か??

上記法律、厚労省の考え方を踏まえると、ワクチン接種を命じる業務命令は、原則として合理性を欠き、業務命令権の濫用に当たり、無効とされる可能性が高いと考えられます。
そうである以上、当該業務命令に従わない従業員に対し、そのことを理由に懲戒処分することも、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上も相当であると認められないとして無効とされる可能性が高いでしょう。
同時に、当該業務命令や懲戒処分自体がパワーハラスメントに該当する不法行為とされる可能性も高いため、このような対応は避けるべきでしょう。

3 新型コロナワクチンを接種するよう会社が勧奨することは可能か?その際の留意点は??
ワクチン接種を勧奨すること自体は可能であり、また企業の従業員全体に対する安全配慮義務や安全な職場環境を構築する義務の履行の観点からも望ましい対応といえるでしょう。
ただし、従業員が接種を拒否しているにもかかわらず執拗に接種するよう説得する行為は、その回数、時間、説得時の発言(例えば接種拒否を理由とする人事上の不利益をちらつかせる等)等の態様によっては、必要かつ相当な範囲を超えた業務上の指導としてパワーハラスメントに該当する不法行為とされる可能性もあるため注意が必要です。事実上の強制とならないよう、説明の内容、態様に注意する必要があります。

4 セミナーのご案内
9月15日(水)13:30~15:00のWebセミナーでは、実務上関心の高いと思われる、以下の点についても考え方・留意点のポイントをご紹介する予定です。

・ワクチン接種したかどうか確認してもよいか(従業員・採用時)
・未接種者への対応(異動・業務制限等が許されるか等)
・副反応対策(休暇の導入、接種時期の調整・変更要請等)
・会社の勧奨に応じてワクチン接種した従業員に健康被害が生じた場合、労災になる?会社の民事責任は??
・職域接種を実施する際の留意点
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顧問先企業様は参加費無料ですので、ぜひご参加いただければ幸いです。

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