判例・事例

2024年11月から、フリーランスの取引に関する新しい法律がスタートします!

2024年9月10日 その他


2024年11月1日から、フリーランスと企業など発注事業者との間の取引の適正化、就業環境の整備のため、「フリーランス・事業者間取引適正化等法」(以下「フリーランス新法」といいます。)が施行されます。
今回は、フリーランス新法の内容をご紹介いたします。

1 フリーランス新法の適用対象
フリーランス新法は、発注事業者からフリーランスへの「業務委託」(事業者間取引)に適用されます。

➢フリーランスとは…
業務委託の相手方である事業者で、従業員を使用しないもの
➢発注事業者とは
【特定業務委託事業者】
フリーランスに業務委託をする事業者であって、次の①、②のいずれかに該当するもの
 ①個人であって、従業員を使用するもの
 ②法人であって、役員がいる、または従業員を使用するもの
【業務委託事業者】
フリーランスに業務委託をする事業者⇒フリーランスも含まれます!

注意!:形式的には業務委託契約を締結している者であっても、実質的に労働基準法上の労働者と判断される場合には、労働基準関係法令が適用され、フリーランス新法は適用されません。

2 フリーランス新法の内容
発注事業者の義務は以下のとおりになります。なお、従業員の使用の有無、契約期間によって義務の内容が異なります。

①書面による取引条件の明示
業務委託をした場合、書面等により、直ちに次の取引条件を明示する必要があります。

「業務の内容」「報酬の額」「支払期日」「発注事業者・フリーランスの名称」「業務委託をした日」「給付を受領/役務提供を受ける日」「給付を受領/役務提供を受ける場所」「(検査を行う場合)検査完了日」「(現金以外の方法で支払う場合)報酬の支払方法に関する必要事項」

②報酬支払期日の設定・期日内の支払い
発注した物品等を受け取った日から数えて60日以内のできる限り早い日に報酬支払期日を設定し、期日内に報酬を支払う必要があります。

③禁止行為
1か月以上の業務委託をした場合には、次の7つの行為が禁止されます。
・受領拒否
・報酬の減額
・返品
・買いたたき
・購入/利用強制
・不当な経済上の利益の提供要請
・不当な給付内容の変更/やり直し

④募集情報の的確表示
広告などにフリーランスの募集に関する情報を掲載する際は、
・虚偽の表示や誤解を与える表示をしてはなりません。
・内容を正確かつ最新のものに保たなければなりません。

⑤育児介護等と業務の両立に対する配慮
6か月以上の業務委託については、育児介護などと業務を両立できるよう、フリーランスの申出に応じて必要な配慮をしなければなりません。

⑥ハラスメント対策に係る体制整備
・ハラスメントを行ってはならない旨の方針の明確化、方針の周知・啓発
・相談や苦情に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
・ハラスメントへの事後の迅速かつ適切な対応
などの措置を講じる必要があります。

⑦中途解除等の事前予告・理由開示
6か月以上の業務委託を解除したり、更新しないこととしたりする場合は、
・原則として30日前までに予告しなければなりません。
・予告の日から解除日までにフリーランスから理由の開示の請求があった場合には理由の開示を行わなければなりません。

3 コメント
フリーランスは企業である発注事業者から業務委託を受ける場合において、取引上、弱い立場に置かれやすい特性があります。
上記義務に違反した場合には国からの立入検査等が行われる可能性があり、命令に違反した場合には罰則も設けられています。
フリーランス新法についてご不明な点がありましたら是非ご相談ください。
                                               以上

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