判例・事例

相続の承認・放棄

2007年9月15日 相続


 相続があると、相続人は、土地や預貯金といった財産(積極財産)だけではなく、被相続人が生前負っていた借金などの負債(消極財産)もすべて受け継ぐことになります。
 被相続人にたくさんの預金があり、借金が何もないという場合には、これでいいのですが、逆に、被相続人に多額の借金があり、財産が何もないといったような場合、それを相続人が引き継がなければならないとすれば大変です。
 そのため、法は、相続人が相続するか(承認)否か(放棄)を決めることができるとしています。
 なお、相続の承認・放棄は、相続開始を知ったときから3ヶ月の期間(考慮期間内と言います)にしなければなりません。

1 相続の承認
  相続の承認には、単純承認と限定承認があります。
2 単純承認とは、被相続人の財産や負債をそのまま承継するものです。
  相続の承認をしたという意思表示をすれば、単純承認になります。
  また、①相続財産の全部または一部を処分したとき、②3ヶ月の期間内に限定承認または相続放棄をしなかったとき、③限定承認・放棄をした後でも、相続財産の全部または一部を隠したり、消費したり、またはその財産があることを知りながら財産目録に記載しなかったときには、単純承認をしたとみなされます。
3 限定承認も相続の承認ですが、被相続人から相続する負債等を支払う責任が、相続する財産の範囲に限定されます。つまり、負債の方が多い場合に、自分の財産から支払う必要はありません。
  ただし、限定承認をするには、その旨を家庭裁判所に申述しなければなりません。
  また、相続人が複数いる場合は、限定承認は相続人全員が共同してする必要があります(ただし、相続放棄をする方がいても問題ありません)。

4 相続の放棄
  相続の放棄をすると、最初から相続人でなかったことになり、財産も負債も一切相続しないことになります。
  相続放棄も、3ヶ月の期間内に家庭裁判所にその旨を申述する必要があります。

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