判例・事例

「個人事業者等の健康管理に関するガイドライン」が作成されました!

2024年8月7日 その他の事例・判例


厚生労働省では、個人事業者等の業務上の災害防止を図るために、個人事業者本人と仕事の注文者双方が実施すべき事項を示した「個人事業者等の健康管理に関するガイドライン」(以下「本ガイドライン」といいます。)を作成しました。
今回は、本ガイドラインに沿って個人事業者等の健康管理についてご紹介します。

個人事業者等の健康管理に関するガイドラインの策定について(厚生労働省)

1 個人事業者等の健康管理の基本的な考え方

◇ 個人事業者等(事業を行う者のうち労働者を使用しないもの及び中小企業の事業主又は役員)
個人事業者等として事業を行う上では、自らの心身の健康に配慮することが重要であり、各種支援を活用しつつ自らで健康管理を行うことが基本になります。

◇ 注文者等
注文を受けて仕事を行う場合には、注文者等による注文条件等が個人事業者等の心身の健康に影響を及ぼす可能性があります。個人事業者等が健康を適切に管理するためには、その影響の程度に応じて、注文者等が必要な措置を講じることが重要です。
また、個人事業者等が健康に就業することは、当該個人事業者等と継続的に業務を行う注文者等にとっては、事業継続の観点からも望ましいです。

2 個人事業者等が自身で実施する事項
➢ 健康管理に関する意識の向上
➢ 危険有害業務による健康障害リスクの理解
➢ 定期的(1年に1回)な健康診断の受診による健康管理:40歳から74歳までの者については加入している医療保険者が行う特定健康診査を受診することができます。
➢ 長時間の就業による健康障害の防止:長時間の就業は脳血管疾患や虚血性心疾患の発症リスクを高めることから、就業時間を調整することが望ましいです。また、睡眠・休養の確保を含めた健康管理を行うことが必要です。
➢ メンタルヘルス不調の予防:定期的に、ストレスの状況を自身で確認することが重要です。
➢ 腰痛の防止
➢ 情報機器作業における労働衛生管理:パソコン等でデータの入力や文章・画像の作成、プログラミング等を行う作業に従事するときは、作業場所の明るさや作業姿勢の調整、定期的な健康診断の受診に取り組むことが重要です。
➢ 適切な作業環境の確保:適切な気積の確保、換気の実施、適切な温度の維持、適切な照度の確保等をすることが重量です。
➢ 注文者等が実施する健康障害防止措置への協力

3 注文者等が実施する事項
➢ 長時間の就業による健康障害の防止:健康障害の防止のために以下のような配慮が求められます。
・週末発注・週初納入、終業後発注・翌朝納入等の短納期発注を抑制し、納期の適正化を図ること。
・発注内容の頻繁な変更を抑制すること。
また、長時間の就業により疲労の蓄積が認められる個人事業者等から求めがあった場合には、当該個人事業者等に対して医師による面談を受ける機会を提供する必要があります。
➢ メンタルヘルス不調の予防
➢ 安全衛生教育や健康診断に関する情報の提供、受講・受診機会の提供等
➢ 健康診断の受診に要する費用の配慮:特殊健康診断等や一般健康診断と同様の検査の受診に要する費用について、注文者の負担が必要になる場合があります。
➢ 作業場所を特定する場合における適切な作業環境の確保

4 コメント
本ガイドラインの事項について未実施であっても、それに対する罰則はありません。しかし、個人事業者等及び注文者が上記の様な事項を実施していくことによって、双方の事業継続に資することになります。
なお、雇用契約を締結せず、形式的には個人事業者等として請負契約などの契約で仕事をする場合であっても、労働関係法令の適用に当たっては、契約の形式や名称にかかわらず、個々の働き方の実態に基づいて労働基準法上の「労働者」であるかどうかが判断されます。
「労働者」に該当すると判断された場合には、本ガイドラインによらず「労働者」として、労働安全衛生法等の労働関係法令が適用されることになりますのでご留意ください。
労働者、個人事業者等の健康管理についてお困りの際には是非ご相談ください。
                                               以上

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