判例・事例

労働契約の空白期間が存在しても年次有給休暇を付与すべきとされた裁判例・学校法人文際学園事件(東京地裁判決平成30年11月21日労働判例1201号55頁)

2019年11月25日 労働条件に関する事例・判例


1.事案の概要

学校と有期労働契約を締結していた講師が年次有給休暇を求めた。年次有給休暇には6ヶ月間の継続勤務が必要とされているところ、学校は雇用契約期間が5ヶ月と4ヶ月に分けられ、その間には契約期間が存在しない期間があるので、6ヶ月間の継続勤務をしたとはいえないとして、年次有給休暇を認めなかった。

2.裁判所の判断

有期労働契約とその後の有期労働契約の間に半月から2月程の間が空いているとしても、以下の点を考慮すれば、実質的には継続勤務をしていたといえるので、講師には有給休暇を付与するべきである。

▶ 1年のうちの契約存続期間は約3分の2以上、年間の労働日数は111日にも及ぶ
▶ 学校は、次学期の講師契約を締結したいと判断した講師に対してはアベイラビリティ・シートを交付している。同シートでは講師の都合が尋ねられており、同シートの交付を受けた講師で、学校と次学期の労働契約を拒否された者はいなかった。
▶ 原告となった講師は、平成18年から、別の講師は平成23年に最初に契約を締結してから被告学校で講師をしている。
▶ 空白期間の存在は、学期間の授業が行われない期間に労働契約を存続させておく実益がないことによるもの

3.実務上の留意点

有期労働契約を締結した従業員が一度退職した後、しばらく期間が空いてから復帰される従業員の方がいて、そのようなことを繰り返している。そんな従業員がいるという企業も多いのではないでしょうか。今回の判決では、契約と契約との間に空白期間があったとしても、有給休暇付与の継続勤務6月の要件を満たすと判断していますから、「一度契約が終了しており、復帰までに間があいているから、年休の継続勤務も復帰から数えなおせばよい」と安易に考えることは危険です。

契約期間が空いていたとしても、その意味(本件のように会社側の都合により空白期間があるに過ぎないのかどうか)、契約が反復継続していたかどうか、契約期間の長さ、次の契約の締結の蓋然性等を検討して、実態として勤務が継続しているかどうかを判断基準として下さい。

その他、パート従業員を正社員に切り替える、定年退職者を引き続き勤務態様を大きく変えることなく嘱託社員として雇用する等の場合も継続勤務ありと判断されますので、ご留意下さい。

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