判例・事例

「雇用保険マルチジョブホルダー制度」が始まります

2021年12月8日 労働条件に関する事例・判例


2022年1月1日より、65歳以上の労働者を対象に「雇用保険マルチジョブホルダー制度」がスタートします。厚生労働省より各資料が公開されていますので、その概要を以下でご紹介いたします。

マルチジョブホルダー制度とは
従来の雇用保険制度は、主たる事業所での労働条件が週所定労働時間20時間以上かつ31日以上の雇用見込み等の適用要件を満たす場合に適用されます。
これに対し、複数の事業所で勤務する65歳以上の労働者が、そのうち2つの事業所での勤務を合計して一定の要件を満たす場合に、本人からハローワークに申出を行うことで、申出を行った日から特例的に雇用保険の被保険者(マルチ高年齢被保険者)となることができる制度です。
マルチ高年齢被保険者であった方が失業した場合には、一定の要件を満たせば、高年齢求職者給付金(被保険者であった期間に応じて基本手当日額の30日分又は50日分の一時金)を受給することができるようになります。

~適用要件~
①複数の事業所に雇用される65歳以上の労働者であること
②2つの事業所(1つの事業所における1週間の所定労働時間が5時間以上20時間未満)の労働時間を合計して1週間の所定労働時間が20時間以上であること
③2つの事業所のそれぞれの雇用見込みが31日以上であること

手続の流れ
通常の雇用保険資格の取得・喪失手続とは異なり、マルチ高年齢被保険者としての適用を希望する本人が手続を行う必要があります。
本人からの依頼に基づき、事業主が手続に必要な証明(雇用の事実や所定労働時間など)を行い、これを受けて本人が、適用を受ける2社の必要書類を揃えハローワークに申し出ます。

ご留意点
・マルチ高年齢被保険者として雇用保険の適用を希望する労働者からの必要事項の記載依頼に対しては、事業主は必ず対応しなければならないものとされています。届出様式の記載方法については、厚生労働省の公開するパンフレットに説明があります。
・マルチ高年齢被保険者として雇用保険の適用を希望する者が申出を行ったことを理由として、解雇や雇止め、労働条件の不利益変更など、不利益な取扱いを行うことは法律上禁じられています。
・マルチジョブホルダーがマルチ高年齢被保険者となった日から、雇用保険料の納付義務が発生します。
・加入後の取扱いは通常の雇用保険の被保険者と同様で、任意脱退はできません。
・雇用保険に加入できるのは2つの事業所までです。
                                   以上

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