判例・事例

子の看護・介護休暇が時間単位で取得できるようになりました

2021年3月12日 労働時間に関する事例・判例


令和3年1月1日から、育児や介護を行う労働者が子の看護休暇や介護休暇を柔軟に取得できるように、育児・介護休業法施行規則等が改正され、時間単位で取得できるようになりました。本稿では、改正のポイント及び取得単位の考え方についてご紹介いたします。

1 改正のポイント
半日単位で取得が可能 ➡ 時間単位で取得が可能
 1日の所定労働時間が4時間以下の労働者は取得できない ➡ 全ての労働者が取得できる

2 取得単位の考え方
(1)時間単位の休暇の取扱いについて
①「時間」とは、1時間の整数倍の時間をいいます。当該時間は看護・介護休暇を取得しようとする日の所定労働時間数未満の時間とされています。

②休暇を取得する日の所定労働時間数と同じ時間数の休暇を取得する場合は、1日分の看護・介護休暇を取得したものとして取り扱います。

③時間単位で看護・介護休暇を取得した場合、休暇の時間数の計算をするために、何時間分の休暇で「1日分」の休暇と考えるかについて、休暇を取得した時間数の合計が1日の所定労働時間数※に相当する時間数になるごとに「1日分」の休暇をしたものと扱います。この場合、1日の所定労働数に1時間に満たない端数がある場合には、端数を時間単位に切り上げる必要があります(例えば、1日の所定労働時間数が7時間30分の場合、「30分」という端数を切り上げて、8時間分の休暇で「1日分」となります。)。
※「1日の所定労働時間数」は、日によって所定労働時間数が異なる場合には、1年間における1日平均所定労働時間数となります。1年間における総所定労働時間数が決まっていない場合には、所定労働時間数が決まっている期間における1日平均所定労働時間数となります。

④社内に所定労働時間数が異なる労働者が混在している場合、「1日分」の休暇になるかどうかは、労働者毎に考えます。

(2)具体例
【例】日によって労働時間数が異なり、年5日分の介護休暇が取得可能である場合(1日平均所定労働時間数は7時間とします。この場合、残りの介護休暇の時間を計算する際は、7時間分の時間単位の休暇で、介護休暇「1日分」となります(③参照)。)

(ア)休暇を取得する日の所定労働時間数が6時間であり、6時間休む場合
⇒「1日」の介護休暇を取得したことになり(②参照。)、残り4日間取得可能です。

(イ)休暇を取得する日の所定労働時間数が8時間であり、6時間休む場合
⇒「6時間」の介護休暇を取得したことになり(①参照)、残り4日と1時間(介護休暇1日分(7時間、③参照)-実際に取得した時間(6時間)=残り時間1時間)取得可能です。

(ウ)休暇を取得する日の所定労働時間数が8時間であり、8時間休む場合
⇒「1日」の介護休暇を取得したことになり(②参照)、残り4日取得可能です。

(エ)休暇を取得する日の所定労働時間数が10時間であり、8時間休む場合
⇒「8時間」の介護休暇を取得したことになり(①参照)、残り3日と6時間(介護休暇(5日間)-実際に取得した時間(8時間=1日(7時間、③参照)+1時間)=残り3日と6時間)取得可能です。

3 その他
今回の改正で求められているのは、始業の時刻から連続し、又は終業の時刻まで連続する時間単位での看護・介護休暇の取得を可能とすることです。そのため、就業時間の途中から時間単位の看護・介護休暇を取得し、就業時間中に再び戻ること、いわゆる「中抜け」を想定していない制度であっても許容されます。しかし、その上で、事業主には、看護や介護を必要とする家族の状況や、労働者の勤務状況等に柔軟に対応するために、「中抜け」による時間単位での取得を認めるなどの弾力的な利用が可能となるよう配慮することが求められています。
新たに看護・介護休暇を時間単位で取得する制度を取り入れることによって、日単位で看護・介護休暇を取得する場合と比べて労働者にとって不利益とならないように配慮することも必要です。
                                       以上

PAGE TOP