判例・事例

過労死等防止のために事業主ができること~勤務間インターバル制度~

2024年11月6日 労働時間に関する事例・判例


令和4年3月までの脳・心臓疾患による労災認定事案の分析によると、労働時間以外の負荷要因として「勤務間インターバルが短い勤務」と「拘束時間の長い勤務」が最も多い件数となりました(令和6年版過労死等防止対策白書、厚労省)。
今回は、上記負荷要因を防ぐための一例として勤務間インターバル制度をご紹介します。

1 過労死等について
過労死等とは…
➢業務における過重な負荷による脳血管疾患・心臓疾患を原因とする死亡
➢業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡
➢死亡には至らないが、これらの脳血管疾患・心臓疾患、精神障害

長時間労働は、著しい疲労の蓄積をもたらし、脳・心臓疾患の発症に影響を及ぼすと言われています。また、業務における強い心理的負荷による精神障害によって、自殺に至る場合があるとされています。

2 勤務間インターバル制度について
勤務間インターバル制度とは…
1日の勤務終了後、翌日の出社までの間に、一定時間以上の休息時間(インターバル)を設ける制度です。
※平成31年4月から、勤務間インターバル制度の導入が事業主の努力義務となっています。

3 制度を導入するメリット
☑ 十分な休息時間の確保によって、従業員の健康の維持・向上につながります。
☑ ワーク・ライフ・バランスの充実につながり、従業員の定着や確保が期待できます。
☑ 時間のメリハリをつけることができるようになり、生産性への向上にもつながります。

4 就業規則の規定例
(1)休息時間と翌所定労働時間が重複する部分を労働とみなす場合
第●条 いかなる場合も、労働者ごとに1日の勤務終了後、次の勤務の開始までに少なくとも、●時間の継続した休息時間を与える。
2 前項の休息時間の満了時刻が、次の勤務の所定始業時刻以降に及ぶ場合、当該始業時刻から満了時刻までの時間は労働したものとみなす。

(2)始業時刻を繰り下げる場合
2 前項の休息時間の満了時刻が、次の勤務の所定始業時刻以降に及ぶ場合、翌日の始業時間は、前項の休息時間の満了時刻まで繰り下げる。

(3)災害その他避けることができない場合に対応するため例外を設ける場合
(1)、(2)の規定に以下の規定を追加。
ただし、災害その他避けることができない場合は、その限りではない。

5 コメント
インターバル制度の導入は、労働者の生活時間や睡眠時間を確保し、健康的な生活を送るために有効です。
制度を導入する中小企業には助成金制度も設けられております。導入の際には是非ご相談ください。
                                              以上

注意書き

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