第91回労働問題研究会(弁護士社労士勉強会)振り返り
2021年8月27日 お知らせ
8月17日に開催された第91回労働問題研究会の振り返りをお届け致します。
【労働相談持ち寄りコーナー】
従業員から管理職や会社代表者に対するパワーハラスメントをテーマに意見交換をしました。会社の細かな業務については社長よりも従業員の方が詳しいことを背景に、従業員から高圧的な態度をとられて業務指示にも従わない。社長の代替わりをした顧問先からそのような相談を受けられたこともあるのではないでしょうか。従業員からのパワーハラスメントは業務知識等を優位性を背景に行き過ぎた言動となると成立し得るものです。対応策として、注意指導を継続するという基本の労務管理を行いつつも、社長の代替わりを機に就業規則の服務規律をより細かく改訂したところ、パワハラを起こす従業員が自分から辞職していったという事例等の意見交換がなされました。
【弁護士報告パート】
私立大学の大学教授の65歳定年後の再雇用に関して、定年後再雇用制度の運用の実態、労働者の勤務歴等に照らし、定年後再雇用に対し合理的な期待が存在すると認められるときは、再雇用を拒否する客観的合理的理由、社会通念上の相当性を根拠づける特段の事情のない限り、定年後再雇用規程の内容で再雇用されたのと同様の雇用関係が存続するとする裁判例を検討しました。
グループディスカッションでは、定年後再雇用制度を設計、運用する場合に注意すべき点を議論しました。議論では、高年法の適用対象外である65歳以上の定年制を採用する使用者に対しても重い責任を負わせる判決だが、65歳以上の定年後再雇用制を採用する場合には、再雇用の基準や手続きを適切な内容で定める規程を作成することや実際の運用もその基準、手続きにしたがって行うことが大切などの意見が出されました。
【Zoom開催について】
今回もZoomで開催されました。新型コロナウイルスの感染拡大が収まらないなか、安全に実施できるZoomにて次回も実施予定です。今回も、皆様、スムーズに参加頂きました。Zoomが初めてでご不安という方も是非、ご参加下さい。
【研究会の時間が短くなりました。】
次回の労働問題研究会は10月13日18時半~20時です。時間を従来の120分から30分短くして90分で実施予定です。是非お気軽にご参加下さい。