判例・事例紹介
令和8年12月1日から、改正公益通報者保護法が施行されます
令和7年に改正された公益通報者保護法が、令和8年12月1日から施行されます。今回の改正により、内部通報制度の実行性が高められ、通報者に対する保護がより強化されました。
事業者として注意すべき改正内容のポイントをご紹介します。
1 体制整備の徹底と実効性の向上
■ 事業者には、窓口で通報を受け付ける者や、調査等に従事する者、是正措置を実施するもの等を従事者として指定する必要があります(常時使用する労働者が300人以下の事業者については努力義務)。
事業者が上記に違反した場合、従来は消費者庁による指導・助言、勧告等の是正措置の対象でしたが、これに加え、勧告に従わない場合は命令・命令違反時の刑事罰(30万円以下の罰金)などが新設されました。
■ 事業者は、労働者等に対し公益通報対応体制を周知する必要があります。
2 公益通報者の範囲拡大
■ 通報者の範囲が以下のとおり追加されました。
改正前
✅ 労働者(正社員だけではなく派遣労働者、アルバイト、パートタイマーも含まれます。)
✅ 退職者(通報の日前1年以内に雇用元で働いていた者)
✅ 役員(法人の取締役、執行役等)
⇩
改正後
✅ 労働者(正社員だけではなく派遣労働者、アルバイト、パートタイマーも含まれます。)
✅ 退職者(通報の日前1年以内に雇用元で働いていた者)
✅ 役員(法人の取締役、執行役等)
✅ フリーランス(業務委託関係が終了して1年以内のフリーランスも含みます。)
➡ 公益通報を理由とする業務委託契約の解除その他不利益な取り扱いをすることは禁止されます。
3 公益通報を阻害する要因への対処
■ 企業による通報の「もみ消し」や「犯人探し」を防止するための明確な禁止規定が整備されました。
✅ 通報妨害の禁止と合意の無効➡正当な理由なく、公益通報をしない旨の合意を求めることは禁止されます!これに違反してなされた合意等の法律行為は無効となります。
✅ 通報者探索(特定行為)の禁止➡正当な理由なく、公益通報者を特定することを目的とした行為(通報者探索・犯人探し)を行うことは禁止されます!
4 不利益取扱いの抑止・救済の強化
(1) 公益通報を理由とする不利益取扱いの例
■ 地位の得喪に関すること
解雇、退職の強要、正社員をパートタイム労働者等の非正規社員とするような労働契約の内容の変更の強要など
■ 人事上の取扱いに関すること
降格、不利益な配置の変更・出向・転籍・長期出張等の命令など
■ 経済待遇上の取扱いに関すること
減給、賞与・一時金・退職金等において不利益な算定を行うこと、業務委託に係る取引の数量の制限、取引の停止など
■ 精神上・生活上の取扱いに関すること
業務に従事させないこと、専ら雑務に従事させることなど
(2) 不利益な取扱いをした場合のペナルティ
■ 公益通報を理由として解雇や懲戒を行った者に対し、6月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金が新設されました。さらに法人に対しても3000万円以下の罰金が科されることがあります。
■ 公益通報をした日から1年以内(外部通報の場合は事業者が知った日から1年以内)にされた解雇や懲戒は、「公益通報を理由としてされたもの」と裁判上推定されます(立証責任の転換)。
以上
