判例・事例紹介
労働者の転倒災害防止対策をしましょう!
職場で転倒し、骨折してしまう転倒災害が増加しています。事業者は労働者の転倒災害防止のための措置を講じる必要があります。
今回は事業者が行うべき対策等に付いてご紹介いたします。
1 年々増加する転倒災害
➢ 労働災害による休業4日以上の死傷者のうち(新型コロナウイルス感染症へのり患は除く)、事故の型別で最も件数が多いのは「転倒」です(令和5年度労働災害発生状況の分析等(厚労省))。
➢ 転倒災害の増加には、高年齢労働者の増加(中高年齢の女性労働者の増加)が主要因となっています。
➢ 特に女性は加齢とともに骨折のリスクも著しく増大します!
2 転倒災害防止対策のポイント
(1)設備管理面の対策
4S活動(4Sは「整理・整頓・清掃・清潔」の頭文字です。)
通路等の凹凸につまずいて転倒する「つまずき」や凍結した道路等で滑って転倒する「滑り」による転倒災害を防止するには、4S活動が重要になります。
例)
・歩行場所に物を放置しない。
・床面の汚れ(水、油、粉等)を取り除く。
・床面の凹凸、段差の解消
(2)転倒しにくい作業方法
➢ KY活動=潜んでいる危険を見つける(Kは「危険」、Yは「予知」の頭文字です。)
KY活動は、業務を始める前に「どんな危険が潜んでいるか」を職場で話し合い、危険な点について合意をした上で対策し、設定された行動目標や指差し呼称項目を一人一人が実勢することで、安全衛生を先取りしながら業務を進める方法です。
➢ また、以下の様に作業方法を指導することも必要です。
・時間に余裕をもって行動する。
・滑りやすい場所では小さな歩幅で歩行する。
・足元が見えにくい状態で作業をしない。
(3)その他の対策
➢ 作業に適した靴の着用
➢ 職場の危険マップの作成による危険情報の共有
➢ 転倒危険場所にステッカー等で注意喚起
➢ 体操による筋力維持・アップ等…
3 コメント
令和5年の転倒災害による平均休業日数は48.5日となっています。近年転倒災害が増加しており、事業者の安全管理の取組みが重要な課題となっています。ちょっとしたつまずきによる転倒が大きな災害に繋がることもあります。
中小事業者は、無料で安全衛生の専門家のアドバイスが受けられますので(中小規模事業場安全衛生サポート事業)このようなサポートも取り入れながら、労働者の安全を守りましょう。
以上