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働く高齢者の安全と健康を確保しましょう!

2025年11月13日

働く高齢者が増えている中、労働災害による死傷者数では60歳以上の労働者が占める割合が増加しており、労働災害発生率についても若年層に比べ高年齢層で相対的に高い傾向にあります。
そこで、厚生労働省は令和2年3月に「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン」(エイジフレンドリーガイドライン、以下「本ガイドライン」といいます。)を策定しました。今回は本ガイドラインのポイントをご紹介します。

1 事業者に求められる取組
(1) 安全衛生管理体制の確立等
① 経営者トップ自らが安全衛生方針を表明し、担当する組織や担当者を指定
・高年齢労働者の健康管理については、産業保健体制や保健師等の活用が有効です。
・産業医が選定されていない事業場では地域産業保健センター等の外部機関を活用することも有効です。

② 高年齢労働者の身体機能の低下等による労働災害についてリスクアセスメントを実施
・職場改善ツールである「エイジアクション100」のチェックリストを活用することも有効です。

(2) 職場環境の改善
① 照度の確保、段差の解消、補助機器の導入等、身体機能の低下を補う設備・装置の導入
・通路を含めた作業所の照度を確保する。
・階段には手すりを設ける。
・床や通路の滑りやすい箇所に防滑素材を採用する。防滑靴の利用や水分・油分のこまめな清掃を行う。
・墜落制止用器具、保護具等の着用を徹底する。
・やむをえず、段差や滑りやすい箇所等の危険個所を解消することができない場合には、安全標識等の掲示により注意喚起を行う。
などが考えられます。
② 勤務形態等の工夫、ゆとりのある作業スピード等、高年齢労働者の特性を考慮した作業管理

(3) 高年齢労働者の健康や体力状況の把握
健康診断や体力チェックにより、事業者、高年齢労働者双方が当該高年齢労働者の健康や大尉力の状況を客観的に把握
≪取組例≫
・労働安全衛生法で定める健康診断の対象にならない者が、地域の健康診断等(特定健康診査等)の受診を希望する場合は、必要な勤務時間の変更や休暇の取得について柔軟な対応をする。
・加齢による心身の衰えのチェック項目(フレイルチェック)等を導入する、厚生労働省作成の「転倒等リスク評価セルフチェック票」等を活用する。

(4) 高年齢労働者の健康や体力の状況に応じた対応
① 健康診断や体力チェックにより把握した個々の高年齢労働者の健康や状況に応じて、安全と健康の点で適合する業務をマッチング
・業務の軽減等の就業上の措置を実施する場合は、高年齢労働者の状況を確認して、十分な話し合いを通じて当該高年齢労働者の了解が得られるよう努めましょう。
② 集団及び個々の高年齢労働者を対象に身体機能の維持向上に取り組む
・運動指導や栄養指導、保険指導、メンタルヘルスケアの実施
・フレイルやロコモティブシンドロームの予防を意識した健康づくり活動の実施等

(5) 安全衛生教育
① 十分な時間をかけ、写真や図、映像等、文字以外の情報を活用した教育の実施
② 再雇用や再就職等で経験のない業種や業務に従事する場合には、特に丁寧な教育訓練の実施を行う。

2 コメント
高年齢労働者が安心して安全に働ける職場環境づくりや労働災害の防止のために、事業主は上記のような取組みが必要となります。一方で、労働者も事故の健康を守るための努力の重要性を理解し、双方連携して取組みを進めることが重要となります。
事業所の安全と健康確保についてご不明な点がございましたら是非ご相談ください。

以上