判例・事例紹介
令和6年度「過労死等の労災補償状況」が公表されました
令和7年6月25日、厚生労働省は、令和6年度「過労死等の労災補償状況」を公表しました。
これによると、脳・心臓疾患の労災請求件数は1030件、支給決定件数は241件と、3年連続で増加し高水準が続いています。
精神障害の労災請求件数は、3780件、支給決定件数は1055件となり、ともに過去最多を更新しました。支給決定件数が1000件を超えたのは初めてであり、6年連続の増加となっています。
また、精神障害の出来事別の原因は、「上司等からのパワーハラスメント」が224件(前年度比42.7%増)で最多となり、「カスタマーハラスメント」は108件と前年度から約2倍に急増しました。
※詳細は厚生労働省のHP
令和6年度「過労死等の労災補償状況」を公表します|厚生労働省
をご確認下さい。
1 脳・心臓疾患に関する事案の労災補償状況
⑴ 請求件数・支給決定件数
| 請求件数 | 支給決定件数 | ||
| 令和6年度 | 前年度比 | 令和6年度 | 前年度比 |
| 1,030件 | 7件↑ | 241件 | 25件↑ |
| (255件) | (8件↑) | (67件) | (9件↑) |
- 請求件数は1030件で、前年度比7件の増加となりました。そのうち、死亡件数は前年度比8件増の255件となりました。
- 支給決定件数は241件で前年度比25件の増加となりました。そのうち死亡件数は前年度比9件増の67件となりました。
- 請求件数については、必ずしも同年度中に決定(支給・不支給)されているものではありません。また、支給決定件数については、令和6年度以前に請求があったものが含まれます。
- 請求件数・支給決定件数の推移は下記グラフをご確認下さい。

(厚労省HP: https://www.mhlw.go.jp/content/11402000/001508120.pdfより引用)
⑵ 業種別の請求件数・支給決定件数
| 業種別(多い順) | 1 | 2 | 3 |
| 請求件数 | 運輸業、郵便業 | 卸売業、小売業 | 建設業 |
| 213件 | 150件 | 128件 | |
| 支給決定件数 | 運輸業、郵便業 | 宿泊業、飲食サービス業 | 製造業 |
| 88件 | 28件 | 24件 |
- 請求件数は「運輸業、郵便業」213件、「卸売業、小売業」150件、「建設業」128件の順で多いという結果になりました。
- 支給決定件数は、「運輸業、郵便業」88件、「宿泊業、飲食サービス業」28件、「製造業」24件の順に多いという結果になりました。
- 業種別の構成比は下記グラフをご確認下さい。

(厚労省HP:https://www.mhlw.go.jp/content/11402000/001508120.pdfより引用)
⑶ 職種別の労災認定件数
| 職種別(多い順) | 1 | 2 | 3 |
| 請求件数 | 輸送・機械運転従事者 | 専門的・ 技術的職業従事者 |
サービス職業従事者 |
| 177件 | 149件 | 136件 | |
| 支給決定件数 | 輸送・機械運転従事者 | サービス職業従事者 | 専門的・ 技術的職業従事者 |
| 75件 | 34件 | 32件 |
- 請求件数は「輸送・機械運転従事者」177件、「専門的・技術的職業従事者」149件、「サービス職業従事者」136件の順で多いという結果になりました。
- 支給決定件数は「輸送・機械運転従事者」75件、「サービス職業従事者」34件、「専門的・技術的職業従事者」32件の順に多いという結果になりました。
- 職種別の構成比は下記グラフをご確認下さい。

(厚労省HP:https://www.mhlw.go.jp/content/11402000/001508120.pdfより引用)
⑷ 年齢別の労災認定件数
| 年齢別(多い順) | 1 | 2 | 3 |
| 請求件数 | 50~59歳 | 60歳以上 | 40~49歳 |
| 411件 | 348件 | 213件 | |
| 支給決定件数 | 50~59歳 | 40~49歳 | 60歳以上 |
| 129件 | 60件 | 44件 |
- 請求件数は「50~59歳」411件、「60歳以上」348件、「40~49歳」213件の順で多いという結果になりました。
- 支給決定件数は「50~59歳」129件、「40~49歳」60件、「60歳以上」44件の順に多いという結果になりました。
- 年齢別の構成比は下記グラフをご確認下さい。

(厚労省HP:https://www.mhlw.go.jp/content/11402000/001508120.pdfより引用)
⑸ 時間外労働時間別(1か月又は2~6か月における1か月平均)の傾向
- 支給決定件数は、「評価期間1か月」では「100時間以上~120時間未満」18件が最も多く、また、「評価期間2~6か月における1か月平均」では「80時間以上~100時間未満」63件が最も多いという結果になりました。
- 「評価期間2~6か月」の件数は、脳・心臓疾患の発症前2か月前ないし6か月間における1か月平均時間外労働時間を評価して支給決定された件数です。
2 精神障害に関する事案の労災補償状況
⑴ 労災請求件数、支給決定件数
| 請求件数 | 支給決定件数 | |||
| 令和6年度 | 前年度比 | 令和6年度 | 前年度比 | |
| 精神障害 | 3,780件 | 205件↑ | 1,055件 | 172件↑ |
| (うち未遂を含む 自殺の件数) |
(202件) | (10件↓) | (88件) | (9件↑) |
- 請求件数は3780件で前年度比205件の増加となりました。そのうち、未遂を含む自殺の件数は前年度比10件減の202件となりました。
- 支給決定件数は1055件で前年度比172件の増加となりました。そのうち、未遂を含む自殺の件数は前年度比9件増の88件となりました。
- 請求件数については、必ずしも同年度中に決定(支給・不支給)されているものではありません。また、支給決定件数については、令和6年度以前に請求があったものが含まれます。
- 請求件数・支給決定件数の推移は下記グラフをご確認下さい。

(厚労省HP:https://www.mhlw.go.jp/content/11402000/001508121.pdfより引用)
⑵ 業種別の傾向
| 業種別(多い順) | 1 | 2 | 3 |
| 請求件数 | 医療、福祉 | 製造業 | 卸売業、小売業 |
| 983件 | 583件 | 545件 | |
| 支給決定件数 | 医療、福祉 | 製造業 | 卸売業、小売業 |
| 270件 | 161件 | 120件 |
- 請求件数は「医療、福祉」983件、「製造業」583件、「卸売業、小売業」545件の順で多いという結果になりました。
- 支給決定件数は「医療、福祉」270件、「製造業」161件、「卸売業、小売業」120件の順に多いという結果になりました。
- 業種別の構成比は下記グラフをご確認下さい。

(厚労省HP:https://www.mhlw.go.jp/content/11402000/001508121.pdfより引用)
⑶ 職種別の傾向
| 職種別(多い順) | 1 | 2 | 3 |
| 請求件数 | 専門的・ 技術的職業従事者 |
事務従事者 | サービス職業従事者 |
| 1,030件 | 796件 | 556件 | |
| 支給決定件数 | 専門的・ 技術的職業従事者 |
サービス職業従事者 | 事務従事者 |
| 300件 | 182件 | 160件 |
- 請求件数は「専門的・技術的職業従事者」1030件、「事務従事者」796件、「サービス職業従事者」556件の順で多いという結果になりました。
- 支給決定件数は「専門的・技術的職業従事者」300件、「サービス職業従事者」182件、「事務従事者」160件の順に多いという結果になりました。
- 職種別の構成比は下記グラフをご確認下さい。

(厚労省HP:https://www.mhlw.go.jp/content/11402000/001508121.pdfより引用)
⑷ 年齢別の傾向
| 年齢別(多い順) | 1 | 2 | 3 |
| 請求件数 | 40~49歳 | 30~39歳 | 50~59歳 |
| 1,041件 | 889件 | 870件 | |
| 支給決定件数 | 40~49歳 | 30~39歳 | 20~29歳 |
| 283件 | 245件 | 243件 |
- 請求件数は「40~49歳」1,041件、「30~39歳」889件、「50~59歳」870件の順で多いという結果になりました。
- 支給決定件数は「40~49歳」283件、「30~39歳」245件、「20~29歳」243件の順に多いという結果になりました。
- 年齢別の構成比は下記グラフをご確認下さい。

(厚労省HP:https://www.mhlw.go.jp/content/11402000/001508121.pdfより引用)
⑸ 時間外労働時間別(1か月平均)の傾向
支給決定件数は「100時間以上~120時間未満」が74件で最も多く、次いで「40時間以上~60時間未満」が70件という結果になりました。
⑹ 出来事別の傾向
- 支給決定件数は、「上司等から、身体的攻撃、精神的攻撃等のパワーハラスメントを受けた」224件(全体の約2割)、「仕事内容・仕事量の大きな変化を生じさせる出来事があった」119件、「顧客や取引先、施設利用者等から著しい迷惑行為(カスハラ)を受けた」108件の順に多い結果になりました。
- パワハラは前年度に比べ7%増、カスハラは約2倍と大きく増加しております。
- カスハラを防止するために雇用管理上必要な措置を講じることを事業主に義務化した労働施策綜合推進法は、令和8年10月に施行される見通しとなっており、対策を講じることが求められます。
| 順位 | 出来事の類型 | 具体的な出来事 | 支給決定件数 | |
| R5年度 | R6年度 | |||
| 1 | パワーハラスメント | 「上司等から、身体的攻撃、精神的攻撃等のパワーハラスメントを受けた」 | 157 | 224 |
| 2 | 仕事の量・質 | 「仕事内容・仕事量の大きな変化を生じさせる出来事があった」 | 100 | 119 |
| 3 | 対人関係 | 「顧客や取引先、施設利用者等から著しい迷惑行為を受けた」 | 52 | 108 |
| 4 | セクシュアルハラスメント | 「セクシュアルハラスメントを受けた」 | 103 | 105 |
| 5 | 事故や災害の体験 | 「業務に関連し、悲惨な事故や災害の体験、目撃をした」 | 111 | 87 |
| 6 | 仕事の量・質 | 「1か月に80時間以上の時間外労働を行った | 35 | 51 |
| 7 | 仕事の量・質 | 「2週間以上にわたって休日のない連続勤務を行った」 | 33 | 36 |
3 最後に
脳・心臓疾患および精神障害について、労災請求件数や労災保険給付の支給決定件数等をご紹介しました。
当事務所では、企業の立場で労働問題のご相談をお受けしております。
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