判例・事例

知的財産権に関する改正法

2024年4月10日 知的財産権:特許・実用新案・意匠・商標・著作権・不正競争防止法


今回は、令和6年に施行された知的財産権に関する改正法の内容のポイントをご紹介します。

1 意匠法の改正~新規性喪失の例外適用手続きに関する改正(令和6年1月1日施行)~
意匠法とは、創作された意匠(デザイン)を保護する法律です。
保護を受けるには、意匠登録出願をしなければなりませんが、その場合に新規性(今までにない新しい意匠であること)という要件を満たす必要があります。
例外的に、出願前にデザインを公開してしまったなど新規性を満たさない意匠であっても、一定の要件の下で新規性を喪失した意匠として取り扱わないことが規定されています。
この例外規定の適用を受けようとした場合に提出が必要な証明書について、以下のように要件が緩和されました。

改正前
全ての公開された意匠を網羅した証明書を提出する必要あり。

改正後
最先の公開された意匠についての証明書で足りる。

2 商標法の改正
商標法は、商品やサービスに付される目印、すなわち商標を保護する法律です。

(1)他人の氏名を含む商標の登録要件が緩和されました!(令和6年4月1日施行)
商標法では、他人の氏名を含む商標について、その他人の承諾がない限り、商標登録を受けることができないという規定があります。
今回、以下の様に要件が緩和されました。

改正前
他人の氏名の知名度等に関わらず、当該他人の承諾が必要。

改正後
①氏名に一定の知名度を有する他人が存在しない。
②氏名と出願人との間に「相当の関連性」があり、登録を受けることに「不正の目的」がない。
場合には他人の承諾なしに商標登録が可能。

(2)コンセント制度が導入されました!(令和6年4月1日施行)
今回の商標法改正では、新たに以下のようなコンセント制度が導入されました。

改正前
他人の商標登録(以下「先行登録商標」)又はこれに類似する商標であって、当該商標に係る指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似するものについては商標登録を受けることはできない。

改正後
上記の場合であっても、
 ①先行登録商標権者の承諾を得ている
 ②先行登録商標と、出願する商標との間で混同を生ずるおそれがない
場合には商標登録を受けることが可能になりました。

3 不正競争防止法の改正~ブランド・デザイン等の保護強化(令和6年4月1日施行)~
不正競争防止法は、事業者間の公正な競争等を確保するために不正競争等を防止する法律です。
商品形態の模倣行為について、デジタル空間における他人の商品形態を模倣した商品の提供行為も不正競争行為の対象とし、差止請求権等を行使できるようになりました。

4 コメント
今年は知的財産権に関する様々な改正法が施行されました。改正内容は多岐に渡っており、今回ご紹介したものは改正内容の一部になります。
自社のブランドやデザイン等の権利を守るために、ご不明な点がございましたらいつでもご相談ください。
                                               以上

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