判例・事例

令和5年6月1日から契約書面等を電子メール等で提供することができるようになりました! ~特定商取引法改正①~

2023年6月13日 法的助言・契約書作成等


特定商取引法(以下「特商法」といいます。)では、特定の取引類型について、令和5年6月1日から、紙での交付を原則としつつ、消費者の承諾を得て、上記書面等を電子メール等の電子的方法によって提供することができるようになりました。今回は、改正のポイントをご説明します。

1 改正の概要

特商法では、

①これから勧誘しようとする取引等の概要について記載した書面(連鎖販売取引※1、特定継続的役務提供※2及び業務提供誘引販売取引※3において提供が義務付けられています。)
②申込みの内容を記載した書面(訪問販売、電話勧誘販売及び訪問購入において事業者が申込みを受けたとき(申し込みを受けた際直ちに契約を締結した場合には交付不要。)に交付が義務付けられています。)
③契約内容を明らかにする書面(訪問販売、電話勧誘販売、訪問購入、連鎖販売取引、特定継続的役務提供及び業務提供誘引販売取引において交付が義務付けられています。)

の交付を事業者に義務付けています(以下「契約書面等」といいます。)。

令和5年6月1日から、これらの書面について、紙での交付を原則としつつ、消費者の承諾を得て、当該書面に記載すべき事項を電子メール等の電磁的方法により提供できるようになりました。

※1:「他の人を販売員にすると、あなたも収入が得られる」と勧誘し、商品等を買わせるいわゆるマルチ商法のひとつ 
※2:いわゆるエステや美容医療等の長期・高額の契約
※3:「仕事を紹介するので収入が得られる」と勧誘し、その仕事に必要であるとして商品等を買わせるいわゆる内職商法のひとつ

2 消費者の承諾
電子メール等の電磁的方法により提供するには、事業者から消費者に対して使用できる機器等を分かりやすく説明し、承諾を得る手続きをとる必要があります。

3 電磁的方法による提供~どのようなツールで提供できるのか?~
👉電子メールやショートメッセージ
👉ウェブサイトからダウンロードする方法
👉DVDやUSBを交付する方法

提供する際には、プリンタ等を用いてデータを紙で出力できることが必要です。また、データの改変が行われていないかどうかを確認することができる措置を講じる必要があります。ダウンロードによる方法の場合は、ダウンロード元を消費者に通知することが求められます。
内容については、消費者が明瞭に読むことができるように極端に小さな文字や、逆に一画面に一文が入らないような大きすぎる文字等で表示してはいけません。また、赤い背景に赤字で表示するといったような場合も読みにくいため認められません。

4 コメント
今回の改正によって、契約書面等を電子メール等電磁的方法によって提供することができるようになりましたが、その場合、消費者の事前の承諾が必要になります。その承諾を得るために、事業者は消費者に説明しなければならない事項や確認事項が定められております。承諾手続に不備があった場合、罰則の対象ともなり得ますので、事業者としては承諾手続を十分に把握した上で行うことが望ましいです。また、提供の方法についても満たすべき基準が定められておりますので、対象となる取引類型を導入される場合にはご相談ください。
                                               以上

PAGE TOP