判例・事例

4月1日から、適用が猶予・除外されていた業種にも労働時間の上限規制が適用されます!

2024年3月7日 労働時間に関する事例・判例


平成30年4月から、36協定で定めることができる時間外労働時間に制限が設けられました。
大企業や中小企業は既に施行されていますが、特定の事業・業種に関しては適用が猶予・除外されていました。しかし、令和6年4月1日から、当該事業・業種に関しても適用開始となります(一部特例付き)。
今回は、労働時間の上限規制についてご紹介します。

1 36協定の締結とは?
労働基準法では…
労働時間の上限(法定労働時間)⇒原則1日8時間、1週40時間
休日の最低基準(法定休日)⇒毎週1回または4週を通じて4日以上

           

これを超えて労働させる場合には36協定の締結・届出が必要!

労働基準法では上記のように法定労働時間及び法定休日が定められており、法定労働時間を超えて時間外労働をさせたり、法定休日に労働させる場合には、
・労働基準法36条に基づく労使協定(36協定)の締結
・所轄労働基準監督署長への届出
が必要になります。

2 時間外労働の上限規制
☞Point1
時間外労働の上限は原則月45時間・年360時間であり、臨時的な特別の事情がなければこれを超えることができません。

☞Point2
臨時的な特別の事情があり、労使が合意する場合(特別条項)であっても
・時間外労働が年720時間以内
・時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満
・時間外労働と休日労働の合計について、「2か月平均」「3か月平均」「4か月平均」「5か月平均」「6か月平均」が全て1か月当たり80時間以内 
・時間外労働が月45時間を超えることができるのは年6か月が限度

※特別条項の有無にかかわらず、1年を通して常に、時間外労働と休日労働の合計は、月100時間未満、2~6か月平均は80時間以内にしなければなりません。
(例):時間外労働44時間+休日労働56時間=月100時間の場合、時間外労働は45時間以内に収まっていますが、休日労働との合計は100時間以上となっており法律違反になります。

3 令和6年4月1日から適用開始される事業・業種(以下のように一部特例付きで適用されます。)

・建設業:災害時における復旧・復興の事業を除き、上限規制がすべて適用。
災害時における復旧・復興の事業には、時間外労働と休日労働の合計について、月100時間未満、2~6か月平均80時間以内とする規制は適用されません。

・自動車運転業務:特別条項付36協定を締結する場合は年960時間が上限となります。
時間外労働と休日労働の合計について、月100時間未満、2~6か月平均80時間以内とする規制は適用されません。
時間外労働が月45時間を超えることができるのは年6か月までとする規制は適用されません。

・医師:特別条項付36協定を締結する場合は年間の時間外・休日労働の上限が最大960時間(1860時間になる場合もあります。)となります。
時間外労働と休日労働の合計について、月100時間未満、2~6か月平均80時間以内とする規制は適用されません。
時間外労働が月45時間を超えることができるのは年6か月までとする規制は適用されません。
医療法等に追加的健康確保措置に関する定めがあります。

・鹿児島県及び沖縄県における砂糖製造業:上限規制がすべて適用されます。

4 コメント
時間外労働の上限規制に違反した場合には罰則(6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金)が科されるおそれがあります。長時間労働を防ぐことは、従業員の健康を確保して就業意欲を拡充し、より能力が発揮できる職場環境を構築するために重要です。
弊所では36協定の作成も承っておりますのでお気軽にご相談ください。
                                               以上

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