判例・事例

商品形態が商品等表示に該当する場合

2007年7月20日 知的財産権:特許・実用新案・意匠・商標・著作権・不正競争防止法


1 不正競争防止法2条1項1号は、他人の商品等表示として需要者間に広く認識されているものと同一もしくは類似の商品等表示を使用等して、他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為を不正競争としています。
 法は、商品等表示を「人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するもの」と定義していますが、一定の要件を満たせば商品の形態が商品等表示として法2条1項1号で保護されることがあります。
 その要件ですが、一般的には、①当該商品の形態が他の同種商品と識別しうる程度の特徴を有し(識別性)、②長期間継続して独占的に使用されているか、短期間でも強力な広報・宣伝などにより当該商品形態が特定者の商品であることを示す表示に至っている場合(周知性)であるとされています。
 裁判例では、商品形態の商品等表示性を肯定したもの、否定したもの両方ありますが、商品形態が商品等表示であるか否かは、上記①②の要件を中心に取引の実情等も含めて総合的に判断する必要があるといえます。

2 不正競争防止法は、他方で、商品形態の模倣行為を不正競争行為であると規定し(2条1項3号)、商品形態の保護を図っています。
 3号は、他人の商品の形態(2条4項)を模倣する行為を規制していますが、ここに模倣とは、①他人の商品形態に依拠して、②これと実質的に同一の形態の商品を作り出すこととされています(2条5項)。
 この要件①②を満たせば、本号で保護されるわけですが、当該商品が日本で最初に販売された日から起算して3年を経過した場合などは適用除外(19条1項5号イ)とされていることに注意する必要があります。
 この適用除外に該当してしまう場合などに、商品形態を1号で保護する意義があるといえます。

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